2018年8月6日月曜日

「委託業務」と「直営」の違い 給食とごみ収集で考える

 今朝の東京新聞の「私の本の話」というコラムに吸い寄せられました。コラムの表題は「委託で失われる多くの価値」で、本の題名は「ごみ収集という仕事」です。
 大学准教授で著者の藤井誠一郎さんは、ごみ収集が多くの自治体で委託されているが、自治体職員と、委託で働く作業員のモチベーションの差を感じたといいます。実際、炎天下や雨の中、清掃車に乗って得たことが綴られているようです。
 効率的な行政の追及に異論はないけれど、それによって失うものが多くあることに気が付くべきではないでしょうか、と著者は問いかけています。(大磯町では長らく委託業務になっているので、問題はないと私は考えていますが)

ごみ収集と給食の調理がどう結びつくか


 実は、企業で働いていた時に社員食堂の整備に携わったことのある方の話を伺った中で、驚いたことがあります。「おいしい昼食を社員に提供するために、調理を委託から直営に変えた」というのです。企業なら委託が当たり前では、と考えていた私には衝撃的な話でした。
 もっと詳しく伺いたいと思っていますが、ごみ収集の話と通じるところがあると直感しました。

給食の調理委託は食育から遠ざかる


 1000万円以上の貴重な税金を使って実施調査委託をかけていますが、調査委託の項目をよく読みこむと、調理は自校、親子方式に「直営」の文字はありません。センター方式では「調理・配送は外部委託」のみ、経費算定を明記。
 現在、自校方式の小学校は直営ですが、正規の職員は一人しかいないということです。他の調理員さんたちは、臨時雇用です。経費は最小限になっているはずです。それを委託?委託は会社の利益も税金で払うしくみですよ‼委託によって失われるものは税金だけではありません。他にもたくさんあるはずです。
 まず、偽装請負が発生しないように業務を行ってもらうために、栄養士はじめ、学校関係者が直接調理員さんとやり取りができなくなります。綿密な調整が必要、ということは地産地消などの取り組みに障壁をもたらすこともおおいに考えられます。
 大磯町では国の補助金を使って「図書館の窓口業務委託」を有隣堂に頼んだことがあります。利用者にはいつもと変わりない図書館運営に見えたかもしれませんが、細かいところで困った状況が生まれていたのを私は知っています。
 これと同じことが食を扱う給食の調理で起こることを認めるわけにはいきません。